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2004年2月の写真

Pátio de Colégio

 1月25日は、サンパウロの市制記念日である。

 ブラジルは1500年に「発見」され、ポルトガル領となった。以後、カトリック教会の神父がバンデイランテス(奥地探検隊)として、植民地化の先兵の機能を果たしてきたことは、歴史の記すところである。それが教会の意図したところであったかどうかは別問題として。

 1554年1月25日。アンシエッタ神父によりこの場所で、ミサが行われた。これをもってこの地は、サンパウロと名づけられた。それは、1月25日が聖人パウロの日であったことによる。

 もちろん、この場所にはすでに先住民の集落が存在した。だからこのミサは、ポルトガル領への併合を神の名において彼らに宣言する儀式の意味合いもあったはずだ。

 アンシエッタ神父が着用したという外套は、彼が偉丈夫であったことを物語る。薄汚れたその服の前に立つと、使命感に燃えてバンデイランテスとともに大西洋の波涛を越え、密林の海岸山脈を登ってこの地に至った神父の姿を、まざまざと感じとることができる。

 サンパウロ市制記念日の特集では、先住民を教化した偉人としてこの神父は語られる。しかし現在、このサンパウロ発祥の地を歩く時、その様なイメージが嘘であったと感じるはずだ。「教化」され、「文明化」されたはずの先住民はどこにいる?

 私にとってのサンパウロの市制記念日は、その様な歴史の流れの中に自分の存在を置く日として毎年、巡ってくる。

カメラ ミノルタ DiMAGE A1
レンズ
露出 F4.5 AE(-0.6EV)
 

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