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ブラジル人気質
2002年9月24日
サンパウロ市在住 美代賢志

 ブラジル人が「ピカピカ好き」だということは、以前に書いた。これは、ものすごく外見を気にするということでもある。半ズボンで市議会に行ったところ、入り口で入室を断られたという日本人も知っている。上は公式の建物から、下は雑貨屋まで、「相応の服装」を求められる場面は多い。私の場合はブラジルに来て数ヵ月後、この「外見重視」に気がついた。ブラジル人は、Tシャツまでアイロンをかける。

 しかし私は、アイロンを持っていなかった。もちろん買う金もない。仕方なく、湯を沸かした薬缶でアイロンをあてた。お湯をチョビっと垂らせばスチームにもなるという、非常に便利もの…と、このアイデアに得意になったものである。といっても次のような欠点がある。

1 温度が低い(最高で100度)
2 薬缶スチームはお湯の滴下に熟練を要し、時として衣類を乾燥前の状態に戻してしまう。
3 アイロンが温まるまでに時間がかかる。長時間使用を前提にするほど、湯沸かしが大変。
4 ガス代がかかる。(これは電気代と相殺か)

 逆に利点としては

1 タイミングさえ良ければ、ひと仕事終えてすぐに美味しいお茶が飲める。
2 ペットボトルに使用後の水を入れれば、ミネラルウォーターの代金が浮く。
3 電気代が不要。(といってもガス代はかかる)

 ところでこの「外見ピカピカ主義」は、あらゆる所に蔓延する普遍的ブラジル人気質のようである。

 友人のアパートでは、地上の入り口から通路などが、大理石を使ってピカピカに変身した。エレベーターの扉(エレベーターの箱側は戸で、外側は手動の扉です)も、これまでの鉄製でペンキ剥げ剥げから木目のゴージャスに。ところが「中身は昔のままだから、夜中にエレベーターが落ちた」という。

 家屋にしても、左官的にキレイになっているものの、実はオンボロというのが多い。築20年ぐらいかと思える家屋が実は5年だったりして、それがまた化粧直しして新築に見えたりと、恐ろしい限りである。配管は古いままだから、どうなることやら。もう少し材料に金をかければ、維持費も安くなるだろうに。

 もっと身近なところでは、毎日毎回、鍋やフライパンをピカピカに磨くので、いつまでたっても焦げ付くのである。「もっと中身で勝負したらどうや、ブラジル人!」と言いたくなるのだが…。

 実は、購入した車が1年経過したので、ふとそんなことを考えた。この車はブラジルのオリジナルと言えるフォルクス・ワーゲンのGOL(ゴール)。サッカーのゴォォォルのGOLである。しかも左ハンドル(もっとも、これはブラジルなら当たり前)だ。基本モデルはリッターカーのハッチバックなので、位置づけは大衆車。だから、人生の車遍歴のGOLではない(はず)。こいつの印象としては、「保証期間の1年をかけてバグを修正した」という感じ。詳細は別の機会に書いてみたいが、「見てくれ重視もエエけど、もっと基本的なところでメーカーは仕事をせいよ!」と、怒り爆発なことも多かった。設計の問題であったり、製造の問題だったり…。見かけはかわいくてエエのに。

 と、ブラジルの工業製品に散々なことを書いてみたが、日本の工業製品も似たり寄ったりとも言える。近頃、カメラ熱が急速にしぼんできたのを実感しつつ、そんな感慨をもっている。

 カメラ好きの視点で言えば、近頃のカメラはごく一部の機種を除いて「プラスチックボディー」なのが気に入らない。私の「お宝」である某社のプロ機も「プラスチックボディーの金属外装」であって、金属ボディーではない。見た目主義。ダイアルをクリックした瞬間に、中身のプラスチック感が手に伝わってくる。プロ機なら本来、逆だと思う。外装はプラスチックでも、操作するたびに中身の信頼感が指先に伝わってくる方が、何倍も嬉しい。私の一番のお気に入りであるニコンのF4など、その典型。

 デジタルカメラも同様だ。私の愛用するモデルは一見、カメラチックで上品なデザインだったりするが、ファインダーマスクが信じられないぐらいに樽型に歪曲している。1眼レフの「ファインダーの4隅で構図を決める」癖がついているので、結果的に映像が傾くことが多い。そこで歪みのない液晶画面で撮影すると…電池がすぐになくなるのである。仕方なく使っていはいるが、はっきり言って不満のかたまり。安価で使いにくいファインダーは、「使いこなしを努力することで写真撮影が上達して楽しくなる」という趣味的難しさとは別次元だ。

 ここまで使いにくいと、「カメラなんて、写れば良いんでしょ!」と、言われているような気になる。ユーザーがそういうならともかく、メーカーに言われている気になると、ちょっとゲッソリだ。

 ブラジルの工業製品をバカにできないところまで、日本の工業界も外見主義に毒されていないだろうか? ブラジルの場合はもともとの低レベルが改善する余地はあるとして、日本の場合はかつての高い品質が低下しているので余計に深刻。このあたり、駐在員の方々にちょっと聞いて見たい気はする。

これが、管理人所有のGOL

 ちょびっとこだわって、赤ボディー。フォグランプも備えているが、私にはブラジル人のようにビカビカとライトアップする趣味はないので、ほとんど出番はない。空の映り込みが激しいが、所有するデジカメにはフィルターが装着できないので、どうしようもない。

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