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ついにマック
2002年10月18日
サンパウロ市在住 美代賢志

 大阪でマックと言えばマッキントッシュ、同じマックでもハンバーガーはマクドという。個人的には「まくど」と書いた方が、よりバタ臭くて好きだ。しかし私は大阪人ながら、ハンバーガーもマックと呼んでいる。

 なぜなら私は、ビッグマックを「ビッグまくど」と呼ぶ気にはならないからだ。

 マクドナルドがまくどなら、ビッグマックもビッグまくどだろう? 大阪人の諸君よ。一貫性のない男は嫌われるぞ。いや、そんなことじゃなくて。

 そしてブラジルでハンバーガーのマックに出会ったのは、こつこつ薄給を2ヵ月ばかり貯めてからであった。この時の出来事はすでに書いた。週給2500円相当で家賃以外のすべてをまかなっていた私にとって、日本と代わらぬ価格のマックは当時、本当にまぶしい存在だった。

 そして今回はもうひとつのマック、マッキントッシュとの出会いである。

 キーボードはともかくも、ブラジルで日本語OSを使うというのは、ウィンドウズに限って言えばとてつもない制限を求められてきた。

 たとえば、ドライバーの問題。ブラジルで発売されている一部のメーカー製プリンターは、日本語OSだと印刷できなかったりした。誰かが購入して、アレコレ試してからでないと、恐ろしくて購入できない。そしてアレコレ試してはじめて、「やっぱり動かない」というのが分かる。そうなると返品するにも日数が経過していて面倒だったりする。だから、新しく発売された製品をイキナリ購入すると言うのは、ほとんど賭けに近い行為だった。ま、新しいウィンドウズが発売されるたびに、それも過去のこととなりつつある。

 しかし、ほかの問題もある。メーカー製コンピュータ(ポルトガル語版OS搭載機)は、購入しても日本語OSに換装(といのか?)できるかどうか分からないという点。これも突き詰めればドライバーの問題か。デスクトップは自作の世界だからいいとして、問題はノート型だ。

 グローバル時代にもなろうというのに、コンピューターはいまだに鎖国である。ひとつのOSで、グローバルに言語を選択できるようにはなっていないのだ。ポルトガル版ウィンドウズとか日本語版ウィンドウズとか、言語ごとに製品が発売されている。ウィンドウズXPでは解決されているが、それ以前のものはファイル名にポルトガル語のアクセントがついていると、ファイルへのアクセスすら拒否された。妻の実家で日本語コンピュータを使いたい時、デスクトップはもって歩けないのに。

 そこで注目したのがマッキントッシュ。ソフトとハードが同一メーカーというのは、ある意味で非常に心強い。日本のモデルもブラジルのモデルも同一だから、最新OSさえ持ってくれば大丈夫じゃないか?

 そんな話をしていたらほんの1週間ほど前、とあるお方から話題のマックを譲り受けた。と言ってもノートではなくデスクトップ。それでも、使い勝手やウィンドウズと併用する上での問題をテストするには心強い。問題は、実際に乗り換えるとするとソフトをゼロから買い揃えなければならないことか。しかし物理的に巨大なハードの問題を日本に依存するよりはマシ。というか、ソフトの問題だけならウィンドウズのデスクトップと同じ程度の苦労ですむ。それでノートが入手できるなら、そのほうがはるかに良いだろう。

 さて、いただいたマックは年代物のようで、しかもOSは英語だという。仕組みは知らないが、そこに日本語FEP(というのか?)が入っている。

 家に持ち帰り、電源を入れてみた。プログラムというフォルダをあけると、雑多なアイコンが好き勝手に並んでいる。アイコンをキレイに自動で並べようと思うのだが、右クリックはできないし、いろいろ探してもそれらしきものがない。

「ん〜、よう分からん」

 思い出すと、最新機種でもマックのマウスは1ボタンだ。純正一本やりというのもイイが、もう少し、何とかならんのか? 企業でも広く人材を集めるのが求められているこのご時世に、便利な周辺機器を多くの企業のアイデアで盛り上げるという気はないのだろうか。こんな旧弊にしがみついていて良いのか、マックよ。クリエイターが使うマックの方がクリエイティブではないというのは、どういうことだろう。

 こうした問題は、100歩譲って「慣れ」ということにしても、マウスやキーボードひとつからして、他のメーカーの選択肢がないというのはいかがなものか? ひとつの企業からすべてを押し付けられて、十人十色で同じ仕様。そこに愛着が生まれるものか? いや、愛着はいらないが少なくとも、インターフェースぐらい、自分の好みで選びたい。そんな不満が昂じて、マックユーザーはクリエイティブになれるという逆説なのか?

 ポピっと電源を切って、それ以来である。

 さようなら、マック。

 そういえば、もうひとつのマックもセットメニュー中心のお仕着せ販売だった。「簡単操作」に「簡単な注文方法」…。いずれも「とっかかり」が簡単なだけで奥がない。消費者をバカモノ扱いしていると思うのは、私だけだろうか?

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