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カエルの祟り

2003年2月25日

サンパウロ在住 美代賢志

 私の郷里は、大阪の田舎である。今でこそ新興住宅地だとか衛星都市だかと張り切っているが、私が子供のころの自慢といえば「芋掘り」と「苺狩り」という、まさに辺り一帯が田んぼな土地柄だった。

 子供のころの遊びと言えば、「ザリガニ釣り」やら「亀釣り」やらと、そのような類である。この餌となるのが、トノサマガエル。地面に叩きつけて殺してから、皮をむいて腹を裂き、足をタコ糸に括りつけて池に投げ込む。後年、小学校の高学年になれば授業でカエルの解剖をする聞いて、ワクワクしながら進級を待ったものだ。無造作にカエルを切り裂いていた頃を思い出し、あの時にそんな知識があれば、ザリガニ釣りもまた違ったものであったろうと思った。そして、いよいよ進級して授業をうけようという時、科目から除外されてしまった。

 ま、そんな話はさておいて。

 幼い子供だからカエルの捕獲が難しいと思っていたのだが、後年、大人になってからのほうが難しいと知った。いや、厳密には中学生。飼育していた魚の餌として、夏場は毎日、用水路でカエルをとって帰っていた。これが、ガキんちょの頃より難しいのである。今思えば、ダボダボのガクランを着て、よくもまぁ、そんなことをしていたものだ。

 それにしてもカエルというのは、実に俊敏な動きをする。陸では飛び跳ね、水中では切れるように泳ぐ。ま、ずらずらと書いて、それが言いたかっただけなのだけれど。

 というのもわが家では、何かあるとブラ妻は、次のように叫ぶのである。

「最後の人はカエルのお尻ぃ〜!」

 つい反応してブラ妻と先を競ってしまう私も、我ながら情けない。ソファーに腰掛ける、食卓につく時など、この掛け声でよーいドンなのだ。しかしこれでは、カエルがかわいそうではないか? カエルはそんなにノロマじゃないぞ、ブラ妻よ。

 ちなみに食用蛙は(ラン、あるいはハン)という。アマガエルの類はPerereca(ペレレッカ)というが、これには別の意味もある。もちろんここでは書けない類のものだが、その意味を知りたいからと言って妙齢のお嬢さんに訊いてはいけない。

 それにしても…カエルのお尻(Bunda de sapo)とは、どういうことだ? わが家のこの習慣は、まさかあれらカエルの祟りじゃあるまいな?

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