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朝日のあたる家

2003年10月22日

サンパウロ在住 美代賢志

 「朝日のあたる家」といえば、皆さんご存知のあれ、である。

 なぁーんて書き出しでやっちゃうと読者の皆さんはウンウン頷くのであるが、それこそ「あれ」は「書籍」であったり「映画」であったり、「マンガ」であったり「音楽」であったりする。音楽だと、「日本語」だったり「英語」だったりと、今さらながらに包容力のあるタイトルだと感心させられる。ま、この文章のタイトルにまでなってしまったことだし…。

 日本人は日照権やら家の向き、間取りにずいぶんうるさいのだが、この点、ブラジル人はかなり無頓着のようである。どちらかというと「物理的な間取り最優先」といった趣がある。太陽光がまったく差し込まないアパートなんてものもあるし、一番大きな団欒スペースに西日直撃、というケースも多い。暑い国だからか、北側(日本でいう所の南側=太陽のあたる方)の窓が日本の風呂場程度の大きさ、などというケースもあって萎えさせられる。

 そして私はというと、お天道さまには可能な限り、うるさい。ま、うるさいといっても可能な限り、と言い換えることもできるが。「日の暗いうちに起きたくない」とか、「寝室の雨戸は閉めないで朝は日の出を感じつつ起きる」とか、そんな類。とほざいている割には夜更かしはする。が、現実はブラ妻との兼ね合いでそうも言ってられないのはご愛嬌である。何しろ、私と結婚するまで1日12時間睡眠が普通だったお方だから、朝日は嫌いらしい。

 で、今朝、ふと出会ったこの光景。なぜか足を止め、感動してしまった。もちろん、こんな風に朝日を浴びる生活がいいってわけではないのだが。そもそも、朝日のあたる「家」ではないかもしれない。あるいは、彼にとってそこは「家」なのだろうか。

 

朝日のあたる…

 Seade(サンパウロ・データ処理財団)が2000年に行ったサンパウロ州の住民調査によれば、州民のうち75.2%に相当する3700万人がサンパウロ州出身で、残る24.8%が他州出身者または外国人の他地域出身者だった。他地域出身者だけで見れば、ミナス・ジェライス州出身者がもっとも多く20.7%、バイーア州出身者がこれに次ぐ19.7%、パラナ州出身者が12.9%、ペルナンブコ州出身者が12.4%だった。1986年から91年にかけて、サンパウロ州は他州から140万人が流入していたが、95年から2000年にかけての5年間では12%減少して120万人だったという。男女比では女性が52%で48%だった男性を上回っている。

 東北部などの人口増加の圧力が高い貧困地域から都市部への人口移動は、直訳すれば「国内移民」と呼ばれる現象である。かつては爆発的とも表現されたこの地域の人口増加のカーブが緩やかになってきており、これに伴い国内移民も減少しているのかもしれない。もうひとつ、こうした地域とサンパウロでは物価がまったく異なるということが、マスコミの報道などで周知されてきたことも大きいだろう。「日本なら1時間10ドルの収入!」などとデカセギ派遣業者は宣伝するが、ブラジルでそれだけの収入になるならともかく、日本で暮らすのであれば生活の質は向上し難いのと同じである。

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