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サンパウロ点描 ビートル

2004年5月28日

サンパウロ在住 美代賢志

 いったい何日ぶりだっけ?と、思いつつビールを。

 リベルダーデ区といえば東洋街、すずらん灯で知られる。しかしここは、坂をずっと下がったところ。東洋情緒のかけらもない、バイシャーダ(低地)と呼ばれる地域。この辺は、麻薬汚染地帯としても知られている。昔、この近辺に住んでいた頃は、夜中にしょっちゅう銃声が聞こえたものだった。薬きょうを拾ったことも何度かある。

 で、今日はそんな所の場末のバール。ふと、窓から外を見れば、ワーゲンのビートルが佇んでいた。こちらでは、フスカと呼ばれる大衆車。2000年ごろまで製造していた気がする。「そう言えば、日本にもって帰りたいなんて言ってた若い駐在員がいたなぁ…」。そんなことを思い出しつつ、手持ちでパチリ。てか、シャッタースピードは2秒だった。前を車が、ビューンと通り過ぎる。

 小型のA1は、こんなところでも気軽に、しかも気付かれずに撮影できるから嬉しいね。そう思った矢先、飲み相手のおっさんが大声で、「ははは。こいつはねぇ、カメラマンなんだ」と、バールの主人に言ったのであった…。おじさん、命は大切にしようね。

長期にわたって製造されたからか、様々なバージョンがある

 

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