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ドラマ

2005年1月27日

サンパウロ在住 美代賢志

 日系の農協関係者のイベントのお手伝いをさせていただいた。

 それでイベント終了後、主催団体のKさんとお話しする機会を得た。

「売り物はたくさんあるんだよ。何かこう、日本にばぁーっと売れるようなアイデア無いかね」

「実際に良い商品があってもね、良い商品ですよといって売れる時代じゃないですよね。だって、昔みたいに悪いものが無いんだから(実際にはあるでしょうが)。とすると、やっぱりドラマじゃないですか。おれは、こんな気持ちで畑を耕して、品質以外のこだわりもあるんだぁーという感じで。社会に貢献する百姓やってます、みたいな感じで。ドラマに商品がくっついてって売れるって路線でしょう」

「ドラマかぁ。あるよ、ドラマ。そりゃもう、掃いて捨てるぐらい。例えば俺の農場で雇ってる青年と話したらさぁ、母親が死んだってんだよ。可愛そうに」

「そうかぁ、母さん、亡くなったのか。大変だな。それで、何で死んだんだい?」

「父ちゃんに殺された」

「この話には、続きがあるんだよ」

「それで、兄ちゃんが今、牢屋に入ってるんだ」

「うわ。貧しい人は、事実誤認というか濡れ衣を着せられることとかあるからねぇ…」

「で、兄ちゃんは、何で牢屋に入ったんだい?」

「女をぶっ殺したから」

「どうかな、このドラマ。すごいよぉ。こんなドラマばっかしだよ。俺の農場は。これでばぁーっと売れそう?」

 

 バイタリティーを存分に発揮して頑張ってください、と、日系農家にエールを送らせていただきます。

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