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DiMAGE A1 その後

2004年3月11日

サンパウロ在住 美代賢志

 前回(舌の根も乾かぬ内に新たなデジカメ)に続くシリーズ。

 お手軽デジタルカメラとして導入したDiMAGE A1だったが、実は「カーニバル取材で使ってみよう」という期待も抱いていた。これまではフィルムカメラを中心とした撮影に、C-2000Zで補助的(というよりWebメディアへの画像提供はこちらが中心)に使っていた。そして、C-2000Zの運用には限界を感じていたのである。何しろ、光学ファインダーは視差があり、背面液晶は応答性が悪い。それに…35mmフィルム換算で35-105mm相当はまぁ、ちょっとな。それに、こんな問い合わせまで来た始末…「○番の写真、オリジナルを使わせて下さい。ファイルサイズが5MB以内なら、直接メールで送って頂いて結構です」。いやはや、こちらのファイルは1MBどころか…という画質である。

 前回の時点でA1をある程度使っていたわけだが、お手軽用途だと、どうしても「カメラでできると思えること」の範囲内でしか使っていない状態。つまり不満が爆発するような状況には至らない使用状況だったのも事実。そんなわけで今回は、「このお手軽デジタルカメラで、どこまでできたの?」という部分を書いてみたい。

 で、今後への期待も含めて、今回はちょっとキツイ表現がある。それを「何言ってやがる!」と思うか、「ユーザーはそんな使い方(受け取り方)もするのか」と思うかは、コニカミノルタ次第ということでヨロシク。

 

カーニバル撮影ってこんな感じ

 これはあくまで私の場合(かつサンパウロのカーニバル)に限って、ということは忘れないでね。

照明
 これはサンボードロモの場所(スタート地点からフィニッシュまで500メートル足らずらしい。私は、1kmぐらいあると思っていたのだけれど…)によって異なる。ライトの光質も微妙に異なる。場所によっては、サンボードロモの右側と左側のライトで、足元にできる影の色(地面は一応、白色)が異なるのが目視できる。

撮影時間
 午後10時から翌日午前8時まで

必要な機材
 あたりまえだがカメラとレンズ。それにフラッシュと外部電源。銀塩なら、ISO400がお勧め。レンズはそれこそ、ありとあらゆる焦点距離があると重宝する。三脚は、通常は不要、というか持ち歩き、あるいはセッティングしながらというのはまぁ、無理。私の場合、銀塩では24mmから400mm(200mmに2倍のテレコン)まで。中心となるのは24mmと85mm、200mm。それから雨具とタオル、カメラへの防水処理用のナイロン袋とこれを固定するテープ。あと、レンズクリーニング用の布(何しろ、かなりのホコリ)など。

観客席からの撮影
 大きく写すなら最低で200mmは必要。あと、ISO400ぐらいのフィルムも。

サンボードロモ内での撮影
 これはまぁ、一般の人は無理だけど。私の場合は24mmで近寄って写すほか、全身を入れれば会場の雰囲気を取り入れた環境写真的なものになる。サイドからの撮影でも85mm程度(全身)から200mmぐらい(アップ)あれば間に合う。

カーニバルを観に行かれる方が用意したら良いもの
・小型の双眼鏡(無くても良いけど、あればより楽しめる)
・雨具(これは絶対。とくに移動時は傘、会場ではカッパという2本立てがお勧め)
・タオル(雨具があっても濡れる時は濡れる)
・行進のプログラムと歌詞が書かれた冊子(当日、配布している場合もある。もちろん、みんなと合唱するため)
・リップクリーム(ホコリが多いため、私の場合、これなしでは唇がガサガサになる)

今回の装備の変更点
・銀塩2台体制+C2000Zから銀塩1台+DiMAGE A1、さらに2日目以降は、 A1の1台体制
 初日の銀塩は、プレスルームでバッテリーを充電するコンセントが確保できない懸念があったための予備的装備。確保できることが判明したので、2日目以降は除外した。それだけで荷物が4キロ減る。それから、基本的には「今年の写真が欲しい」という人は少ないので、「どうしてもフィルムで…」という人には、過去の写真で充分なのだ。

今回の天候
 合計3日(3晩)。初日は昼間の雨が夜にはあがる、という感じ。曇り空。2日目は、時々激しい雨が降った。午前2時ごろから、雨はあがった。3日目は、夜半から雷を伴う激しい雨。明け方に晴れてきた。

 

そりゃ無いぜ…なデザインと事前に施した処置

 前回でも指摘したのだが、真っ先に引っかかるのは「防塵防滴って何?」と主張しているデザインだろう。「A1のデザイナーは、フィールドでカメラを使ったことが無いのか?」と訊きたくなる。私が事前に施した処理は、次の通り。

ボディー左側のスピーカー
 このスリットは、「雨滴が落ちたらイチコロじゃないか」と思える部分。テープでふさぐ。永久にふさいでいたいぐらいなので、穴のない側板をオプションで用意して欲しいほど。

ボディー上面のマイク
 「大多数の人が使いもしない動画用のマイク穴を、雨滴に対してヤバイ上面にもってくるんじゃねぇ、タコ!」とデザイナーに言わずにはおれない部分。しかも穴の周りには、ご丁寧に飾りの溝まで切ってある。ここに水滴が落ちれば溝がマイク穴へのガイドになってしまうだけでなく、毛細管現象により内部に侵入する可能性も高まる。ここもテープでふさぐ。

EVF
 これを正規位置から上方に傾けて撮影する、なんて人が1024人に1人ぐらいはいるかも知れないが、私は「使わない」という1023人の一員である。そんな必要があれば、背面液晶で十分だ。で、暗黒中でEVFを点灯させれば分かっていただけるが、本体との接続部分にフレキシブル基盤があり、しかもその基盤が通っている穴から光が漏れている。つまり、本体とEVFとの接続部分に雨滴が付着すると、フレキシブル基盤を伝ってEVF、または本体内部に侵入する可能性がある。光が漏れてくるのだから、EVF本体基盤(光源)まで直線性の高い穴のはずだ。それに本体側の穴の大きさ(余裕)はかなりのものだから、EVF側も同様だろう。ここは、本体とEVFの上面、側面の接合部をテープでふさぐ。とくに上面は形状がデコボコしているので慎重にテープを貼る。EVFを上に向けたりしないので、「これでは不便だ」などと思うはずも無い。

背面液晶
 実は、何の処置も施さなかった。ただし、雨の中で使っていて気付いた点がある。それは、背面液晶を下側に向けた場合にできる隙間。使用中に雨滴が入ったのだが、ここは拭き取ることすら困難なスペースしかない。しかも下側、つまり重力により雨滴が落ちて行く方向にフレキシブル基盤があって、本体側に配線を引き出すための穴があけられている。ポトッと数滴だったが、この時はかなりあせった。

 以上の部分、コニカミノルタは設計基準を見直すか、デザイナーの感性を叩き直すかしてください。

 この他のボタン類にもテープを貼ろうかと思ったが、それは止めた。雨が降ればビニール袋で完全防御する予定だから。テープを貼った部分はつまり、「何かの弾みでポトリとでも雨滴が落ちたらやばすぎねぇか?」と思える部分のみ。

ビニールによる防滴処理と注意点
1) レンズの通る穴をあける
2) フードを外してビニールにレンズを通し、再度、フードをレンズに固定してフード後方にテープでビニール袋を固定する
 A1のズームレンズはかなり伸長するので、この部分に雨滴が付くとレンズ内部に入り込む可能性が高い。下手すると、レンズ内部で蒸発してレンズを曇らせることになる。そのため、防滴処理のためのビニールは、レンズ先端(フードの後ろの部分)で固定するほうが良いと思う。
3) 同じ袋に、外付けフラッシュのヘッドが通る穴をあけ、テープで固定する。
 ズームでレンズが伸張する分ぐらいの余裕を考えておこう。
 ズーム操作(とくに望遠側から広角側への操作)等で、ビニール袋が前方に出て画面に写り込むことがある。ゴムバンドを本体フラッシュ下方から外付けフラッシュ後方にかけて架けることで、ある程度防げると思う。
4) 下側はオープン(結露を防ぐ)、撮影時はファインダーまたは液晶部分のビニールを持ち上げる。これは、背面液晶部分に目張りをしなかったことと、EVFの接眼レンズ部分の防水性に疑問があったことで、使わない時はレンズ面とフラッシュ発光部の2カ所以外は雨滴がかからない構造にしたかったため。レンズ側のようにビニールに穴をあけて固定したのでは、やばい気がする。
 可能であれば、素直にラップでくるんだほうが良いと思う(ブラジルの報道カメラマンはこれが主流)。

 こうしていよいよ、実戦に投入した。

これがサンボードロモ。左手がスタート地点。夜明け前、雨で輝いている。実際は…ばっちい。

つづく

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